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2024.03.04

映画『舟を編む』松田龍平&石井裕也監督舞台挨拶、実施!

特別上映の公開初日にあたる3月1日(金)に舞台挨拶を実施!
主演の松田龍平&石井裕也監督が登壇し、およそ10年ぶりとなる特別上映への想いや
35mmフィルムで撮影された撮影当時の思い出などをお話しいただきました。

期間限定特別上映の映画『舟を編む』の初日。
貴重な35mmフィルムでの映画上映後、深い感動に包まれた会場内に松田と石井監督が登場すると会場からは万雷の拍手が。
そんな熱い思いを受けてステージに登壇した松田は大勢集まった観客に向かって「今日はじめて観たという方はいらっしゃるんですか?」と質問を投げかけると、
ちらほらと手を挙げる人の姿がありつつも、会場のほとんどの観客が2回目以上の鑑賞だったようで、「皆さん、ほとんどの方が一度ご覧になっているんですね。今日は10周年ということで、こういう機会を設けていただいてありがとうございます」とあいさつ。
つづく石井監督も「公開から10年以上経つ作品なのに、先ほど『初日おめでとうございます』と言っていただいて。なかなかこういう機会もないもので、不思議な感情でもありますし、すごくうれしいことでもあります。それはやはり今、ドラマで『舟を編む』が放送されているということもあるので、(TVドラマ版に出演する)野田洋次郎さん、池田エライザさん様様です」と笑顔で付け加えた。

1983年生まれの松田と石井監督は同い年。2013年4月に公開された本作は、彼らが29歳の時の作品となる。
その時を振り返り、「ちょうど20代最後の作品ということで、気合を入れてやったような記憶があります。そういう意味でも大事な作品です」と語る石井監督に対し、
松田も「僕の中でも『舟を編む』という作品が面白くなかったら、もう俺は役者として終わりだな、くらいの気持ちは当時あった気がしますね。それくらい追い詰められていたというか、自分の役者としての可能性を信じられなかったというか。そういう気持ちがあったことを思い出したんですが。でも石井さんは、その時にやれることは全部やってみようと、受け入れてくれたというか。むしろ俺より先にいってやるというスタンスだったように思いますね」と語るなど、石井監督に全幅の信頼を寄せている様子だった。
そしてその言葉を聞いていた石井監督は、「やはりあの時にしかやれなかったというか。まだ20代で若かったし、エネルギーがあったんでしょうけど、青かったりして。それを同い年の松田さんとやったというのは大きかったですよね」としみじみ切り出すと、「だからきっとこの40歳になったふたりでもう一回『舟を編む』をつくることになったとしてもまったく違う映画になったでしょうね。そういう意味では特殊な映画だと思いますし、大きめの商業映画で、20代の監督と、20代の主演がやるなんてないですからね。だから特別な映画になったし、名刺代わりの1本になったなと思います」と付け加えた。

本作はフィルム撮影が行われ、この日の会場となった109シネマズプレミアム新宿を含む一部劇場では、35ミリフィルムで本作が上映されている。
そんなフィルム撮影について「やっぱりゆらぎがありますよね。温かみもありますし」と語る石井監督は、「この作品は、言葉のひとつひとつを、アナログなやり方で辞書をつくっていく人たちの話なので。(撮影監督の)藤澤順一さんが、辞書をつくる人たちと同じように、こちらもアナログの手法で撮影しなくてはダメだと言ってくださったので。わりとすんなりフィルムで撮影することが決まりましたね。やはりフィルムには、デジタルとは違った良さがあると思いますし、この作品はフィルム上映してこそ『舟を編む』ではないかと思っています」とその思いを明かすと、
松田も「石井さんが、これはフィルムで撮らなきゃダメだという気概でいたのを覚えています。もちろん映像もフィルムからデジタルに変わってきていましたけど、だからこそあえてフィルムで撮ることにこだわるんだ、と言っていたことは覚えています」と振り返った。

松田が演じる馬締光也は、辞書という“舟”を編集する=“編む”ことに没頭する役柄となる。
松田が「現場ではいろいろと、石井さんのイメージとぶつかったりしながらやっていましたけど。でもそれぞれが個々で自分のイメージでやってくださいという感じだったので、僕は僕なりに馬締のイメージをつくって現場に挑んだので楽しかったです。ただ言葉を扱う映画なので、けっこう細かいところまでこだわっていて。言葉尻も“よ”なのか“ね”なのか。そういう細かいところまで石井さんと話していて。それくらい俺に任せろよと、面倒くさい監督だなと思った記憶もありますが(笑)。でもそうした石井さんの本気度というか、俺がいい映画にしてやるんだ、といった気持ちがありがたいなと思った記憶があります」と振り返ると、
石井監督も「でもあの時の馬締も、原作の馬締もそうなんですが、15年もかけて愚直に、コツコツと志を貫徹していく。29歳の僕は、あの馬締の静かな情熱みたいなものを重ね合わせていたんだと思います。そして今でも馬締という人間に引っ張られるところがあったなと思いますし、本当に特別なキャラクターだったなと思います」としみじみ付け加えた。

この日は終始、本作への熱い思いを切々と語り続けたふたり。
「先ほども言いましたが、馬締の持っている静かな情熱というものはずっと忘れないで持っている気がしますし、それがないとつらくて、映画なんてつくれないですよ。だからたぶん忘れないんだろうなと。だからきっと何かの始点になったんでしょうね」と語る石井監督。
2018年ごろに中国での上映会で久々に本作を観る機会があったそうで、「1500人くらい入る大きな劇場の、ものすごく大きなスクリーンで久しぶりに観たんですが、本当に感動しましたね。たぶんどの観客よりも僕が泣いたと思います。それはもう自分の手から離れたからこそ、ものすごく客観的に見ることができたということだと思うんですけどね」と振り返った。

そして最後にあらためて観客に向かって、まずは松田が「10周年ということで、初心に帰れということなのかなとあらためて。もう一度あの頃の気持ちに立ち返ってやりなさいという気持ちにさせられるような、すごくいい時間でした。ありがとうございます」とメッセージを送ると、
石井監督も「今日は2回目以降の方もいらっしゃるかと思いますが、やはりフィルムで観ていただいたというのは本当にありがたいこと。それこそ“たゆたう”というか、海を感じるようなゆらぎを、このフィルム上映で感じていただけたと思います。この作品は音にもものすごくこだわっていて。海を本当に漂っているような音を意図的に入れていたりして。おそらくこの劇場だったら、そういうものも感じてもらえたんじゃないかなと思います」とあいさつすると、あらためて「こんな昔の作品をわざわざ観に来ていただいてありがとうございます。自分たちにとっても大切な作品なので、感謝しています」と付け加えた。

ストーリー

出版社・玄武書房に勤める馬締光也(まじめ みつや)は、営業部で変わり者として持て余されていたが、
言葉に対する天才的なセンスを見出され、辞書編集部に異動になる。
新しい辞書「大渡海(だいとかい)」――見出し語は24万語。完成まで15年。編集方針は「今を生きる辞書」。
個性派ぞろいの辞書編集部の中で、馬締は辞書編纂(へんさん)の世界に没頭する。
そんなある日、出会った運命の女性。しかし言葉のプロでありながら、馬締は彼女に気持ちを伝えるにふさわしい言葉がみつからない。
問題が山積みの辞書編集部。果たして「大渡海」は完成するのか?馬締の思いは伝わるのだろうか?

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