【第2回】『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』/シリーズ第2弾ならではの宣伝法

【第2回】映画館での『映画すみっコぐらし』の存在感とは? 劇場営業の舞台裏

2021.12.22

インタビュー・文:大曲 智子

<全3回>
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公開後、初週の興行収入がその後の行き先を左右するとも言われる映画だが『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』は小さな子でも楽しめるようにと、前作と同じく今作も65分と上映時間が短い。一方で、キッズ・ファミリーだけではなく、大人でも一人でも見たくなるこの映画。前作の成功を受けて、劇場周りでどのような対策を練ったのだろうか。第2回となる製作チームインタビュー、今回は本作の劇場営業を担当した、アスミック・エースの映画営業部の本多と宣伝を担当したアニメ事業部の小野に話を聞く。

――『映画すみっコぐらし』の前作と今作の公開館数はどれぐらいでしたでしょうか。

本多 『映画すみっコぐらし』にイオンシネマさんが出資もされているということで、前作はイオンシネマ中心に114館でスタートし、年末年始のタイミングで劇場数を拡大しました。最終的には14.9億円の興行収入という大ヒットになりました。当初、このぐらい行くとは思ってなかったので私たちも驚きましたね。イオンシネマさんが出資されているというアドバンテージがあったので、12月中旬から拡大という形にさせてもらってのこの数字でした。今回の『青い月夜のまほうのコ』もそのぐらい行く作品だろうということで、多くの映画館から上映の申し込みをいただきました。しかし竹内プロデューサーと話をした上で、まずはコアファンから広げていくのがいいんじゃないかということになり、前回の1.5倍ぐらいの184館から始めました。前作のような大ヒット作品であれば、250~300館以上で構えることが通常のやり方なのですが、確実に大ヒット感を醸成するために絞っていこうということになりました。

――前作の経験を踏まえた点としては何かありますか?

本多 今回は11月から年明けまで上映が続けていけるような興行体制を組みました。11月5日から5週目にあたる12月3日から、184館から250館以上に拡大し、クリスマス、から年始までファミリーが動きやすい日程で劇場を増やしていく計画を、早い段階から仕掛けました。各映画館、各シネコンさんとも早めに交渉していましたね。そうすれば早いうちから発表できるので、お客さんもちゃんと劇場に来てくれる。情報もしっかり届けるということが、今回ならではだと思います。時間帯としては、ファミリー層が来られるように各地で上映する。さらには大人の方も見られるようにと、レイトショーも組んでもらったり。どの方もゆったりと見られるようなタイムテーブルを組んでいただいています。

――入場者特典が充実していますね。

本多 宣伝の方にもいろいろと考えてもらって、入場者特典を毎週つけてもらいました。あとは大ヒットを記念して、関東・関西の主要劇場ですみっコたちによるグリーティングイベントを開催したり、そういったイベントを要所要所でやることによって、お客さんにすみっコたちをもっと好きになってもらう、 ファンの方が満足することが一番大事だと思っています。

小野 今回1、2週目の入場者特典には特にこだわりました。いつかやりたいと思っていた、「とくべつ小冊子」を特典にしたんです。すみっコはもともと書籍や絵本から人気が出たキャラクター。脚本の吉田玲子さんに相談して、映画の続きのようなオリジナルストーリーを書き下ろしていただきました。イラストも作者のよこみぞゆりさんとサンエックスのデザイナーの皆さんに描き下ろしていただき、かなり贅沢な小冊子になりました。 たくさん作ったので足りなくなることはなかったと思うんですが、どうでしたか?

本多 前回は予想外の反響でしたので、その反省を踏まえて数を揃えましたので、なんとかなりました。前回は、予想よりも多くのお客さんが来たというのもあったんですけど、劇場ごとの入場者特典の割り振りがうまくできなかったなという反省があったんです。なので今回は前回の動員数を見て、劇場ごとに数字を割り振りました。だからこそいいスタートダッシュを切れたと思いますし。それによって、2週目、3週目も、国内ランキングの1位を連続で取ることができました。

――ちなみに今作はコロナ禍での制作、公開となりました。そのあたりはどう考慮されたんでしょうか。

本多 イオンシネマさんは新型コロナウイルス感染症予防対策のため、販売座席数を50%としていたのですが、公開直前に解消して100%販売となったのは良いタイミングでした。さらにイオンシネマさんは週末の夜にドライブインシアターを行っています。ドライブインシアターであれば、家族で来ても周りを気にせず安心して見られるということで、非常に人気が高かったですね。前作では公開後しばらく経ってからやりましたが、今回は3週目の週末の夜から始めました。早めにチケットが売れた地域もあったので、コロナ禍ならではの成功した取り組みになったと思います。また、前回に続き今回もイオンシネマさんで「家族であんしん上映会」を行いました。赤ちゃんや小さなお子さまが怖がらないよう、少し明るめの照明にして、音も小さめにしています。

――ほかのアニメ作品と比べて、『映画すみっコぐらし』の特徴ってありますか?

本多 まず上映時間が65分という非常に見やすい長さですよね。上映時間が長い作品だと、タイムテーブルの枠を組むのに苦労する場合が多いのですが、短い分、ファミリー層が来場しやすい時間帯や隙間に差しこみやすい利点があります。 タイムテーブルを組みやすい上映時間と、ターゲットがしっかりしている作品ということで、 劇場としても非常に使い勝手がいいというのもメリットだと思います。

――映画の内容的にも、形としても、劇場に営業しやすい作品なんですね。

本多 そうですね。劇場の支配人ってだいたい30代ぐらいの人が多いので、「うちの娘が見たがっているんです」とか、「子どもの幼稚園ですみっコぐらしが流行っていて、みんなで見に行こうって話してるんですよ」みたいなお話は結構ありました。劇場の現場スタッフに非常に好感を持たれている、現場で盛り上がっているというのは、我々としてもやりやすかったですね。グッズの人気も非常に高くて、スタートしてすぐにグッズが足りなくなりそうにもなったこともありました。映画以外の場所でも話題になって、また映画やすみっコたちキャラクターに帰ってきてくれる。そんな流れになっている気がしますね。


――現在の手応えと、今後の展望を教えて下さい。

本多 昨日(2021年11月23日時点)で入場者数60万人を突破しました。すみっコ人気はまだまだ継続されているなという実感があります。クリスマスから冬休み、お正月明けの連休までは伸ばしていきたいですね。リピーターの方も多いでしょうし、家族で安心して見れる作品としてより多くの方にも広がっていくと思うので、長く上映を続けていけるように準備していきたいと思います。

(第三回に続く)

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