第3回/『2gether THE MOVIE』展開の舞台裏

2021.07.15

インタビュー・文:横川良明

<全3回>
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第三回

2020年以降、多くの映画関係者がコロナに翻弄された。それは、『2gether THE MOVIE』プロジェクトのメンバーも例外ではない。新型コロナウィルス感染拡大の影響により本国タイでの公開延期となる中、迫り来る日本の公開日。

延期か、公開か――記念すべき劇場公開に向けた舞台裏の物語を、宣伝プロデューサーのOとT、そしてGMMTVとの交渉役を務めたIに語ってもらった。

 

――劇場公開と聞いたとき、どれくらいの規模になるのかまるで想像がつかなかったのですが、全国29映画館での公開というスケールには正直驚きました。

O かなり早い段階でTOHOシネマズの方が面白いと感じてくださり、ブッキングしてくれたことが大きかったです。TOHOシネマズ日比谷をメイン館に、新宿、池袋という大都市の劇場をあけていただけたことは、自分たちで快挙というのはおこがましいですが、すごいことだと思います。

T そこに関しては私たちがどうこうというより、劇場営業を担当したスタッフのおかげですね。これまで各劇場さんと築き上げてきた関係性に加え、映画業界の情勢も踏まえて、この時期ならこれくらいの館数をとれるということを細かく分析して、何もわからない私たちに丁寧に説明しながら動いてくれました。

I でも、私から見ると、周りのスタッフが『2gether』のためにできる限りのことをしたいと思えたのは、やっぱりプロジェクトの中心にいたOさんとTさんの作品愛と2人のエネルギーに突き動かされたからなんですよね。2人が各チームに『2gether』愛を説いて回って。その熱意に打たれて、私も含めてみんなが頑張ろうという気持ちになりました。

T やっぱり社内にもまだ『2gether』のことを知らない人はたくさんいたので。今、ファンのみなさんの間ではこんなふうに盛り上がっているんだということをまとめて、営業担当にお渡ししました。それを今度は営業担当から各劇場に伝えてもらったり、ニュースレターという形で配信してもらったり。みんなの力で徐々に広めていけたのかなというのが、私の実感です。

――しかし、本来4月にタイ本国で上映されるはずが、コロナの影響で延期に。結果的に、日本が世界最速上映という形になりました。

I タイでの公開はもともと4月の予定だったので、延期になったとしても6月公開の日本が先になることはまずないだろうと思っていて、GMMTVとはそんな事態を想定して明確な会話はしていなかったのです。なので、ついにタイが2度目の延期をすることが決まってからはGMMTVとかなり密にやりとりをしました。

O もちろん、タイ発の作品なのでタイ本国のファンに一番に見てもらいたい気持ちはありつつ、その時点では延期後にいつ公開できそうかも全く見えておらず。一方日本は夏休み以降、各社がこれぞという大型新作映画の公開を控えている状況でした。そこに延期後の公開タイミングがぶつかると、公開館数も上映回数も少なくなってしまう可能性が高く、また、公開に合わせて仕込んでいた様々なプロモーションも効果が半減してしまいます。アスミック・エースとしても、ファンの1人としても『2gether THE MOVIE』の記念すべき日本公開の盛り上がりが欠けてしまうのは避けたい気持ちがありました。社内でも議論を重ねて、GMMTVとは、日本では予定通り6月に公開させてもらい、“世界最速上映”となる日本での盛り上がりやファンの熱をしっかりと全世界に発信することで作品にとってプラスとなる方法を模索できないか、という方向で会話を進めることになりました。

I そこで私の方から何度も交渉をさせてもらって。私たちがこの劇場公開にかける想いだったり、定性的な部分も一生懸命お伝えしました。

O ただ、やっぱりまず大事にすべきはタイ本国のファンのみなさん。だから、日本で先行して上映することになるけれど、絶対にその内容をネタバレさせないというお約束をして。本編が始まる前にお願い文言も入れることも提案したりして、日本での先行公開の許諾をいただくことができました。

T 実際、公開が始まってからも、ファンのみなさんはきちんと約束を守って、SNS上でも一切ネタバレをされないんです。みなさんがどれだけ作品を大切にされているかということが改めて感じられましたね。

――これまで取引がなく、商習慣もまったく異なるタイとのやりとりで、Iさんはどんなことを大事にされていましたか。

I 心がけていたのは、これはGMMTVとアスミック・エース、みんなのプロジェクトなんだという目線で会話をすることでした。単にこんな宣伝がやりたいです、こんなグッズをつくりたいですだけじゃなく、常に伝え続けたのは、私たちがどれだけ作品を愛しているかということと、『2gether』や作品に関わるアーティストのみなさんをいかに多くの人に広められるかということ。私たちは同じゴールを目指す仲間であり、私たちのやろうとしていることが、どれだけGMMTVにとってプラスになるか、そのことを都度都度説明させてもらいました。

O 最初のうちは送ったメールの返事がなかなか返って来ないというようなこともありました。でもそこをIさんが粘り強くコミュニケーションを重ね続けてくれたおかげで、私たちの本気が少しずつ確実に先方にも伝わったのかなと思います。最終的にはGMMTVの方からも、いろんな提案もいただけるようになって。それだけの関係を築けたのは、間違いなくIさんの力があってのことです。

――記念すべき初日をみなさんはどんな気持ちで迎えましたか。

O オンライン予約が受付開始になった途端、あっという間に席が埋まって。それは本当にありがたかったです。当日、劇場へ行ったら、キャストのブランドのバッグを持っているファンの方がたくさんいて。

T 私たちが行ったのが新宿の映画館だったんですけど、朝からものすごい列ができていて。その光景を目の当たりにして、いよいよ公開になったんだという感慨が沸いたのを覚えています。劇場の方も「こんな行列、久しぶりに見ました」とおっしゃっていて。

O 物販の列が、遊園地のアトラクションみたいになっていましたよね。

T そうそう! 劇場のスタッフさんもものすごく忙しそうなんだけど、キラキラとされていて。それがまたうれしかったです。

I 私はOさんやTさんと違って、もともと『2gether』のファンだったわけではなく、このプロジェクトに参加することが決まって、初めて『2gether』の世界にふれたので、いい意味で客観的な目で見ているところがあったんですね。

でも劇場まで足を運んで。泣きじゃくっているファンの方々をお見かけしたときに、なんとも言えない達成感が沸いてきて。こんなにも作品を愛している方がいるんだということが改めてわかったし、私たちはこの人たちに喜んでもらうために今日まで頑張ってきたんだと実感できました。

――公開後も、“無発声”応援上映など様々なイベントやキャンペーンを展開しています。

T 私自身が応援上映が好きなので、コロナ禍で難しいところではあるんですけど、応援上映は『2gether』で絶対にやりたいことのひとつでした。

O 絶対に成功させたくて、応援上映1日のためだけに特別デザインのポスターをつくって、全国の劇場に発送したりしていましたね。あとは、GMMTVもこの応援上映を盛り上げるために、マイクさん&トップタップさん、ガンスマイルさんのコメント動画のご協力をくださって。ファンのみなさんにも喜んでいただけたみたいで、うれしかったです。

――改めてこのプロジェクトを振り返ってみての感想を聞かせてください。

O 宣伝経験のない私とTさんが中心となる異例のチームではあったのですが、社内横断プロジェクトという形で、いろんな部署の方が力を貸してくださって。社内だけじゃなく、ドラマシリーズを手掛けていて委員会という形で参画してくださったコンテンツセブン、クロックワークスの皆さん、またタイアップさせていただいた企業の方々や、宣伝でお世話になった方々それぞれがお力添えをくださって、会社の枠を超えて同じ目的のためにひとつになれた。そこが、成功のポイントだったのかなと思っています。

I それができたのはやっぱり中心にいたOさんとTさんの企画推進力と、作品愛の力なんですよね。2人がつくる社内向けの資料とか本当にすごいんです。布教シート×100みたいな内容で(笑)、作品を愛している人じゃないと絶対に書けない内容になっている。

その熱量にふれることで、最初はちょっと懐疑的に見られがちだったタイドラマでしたが、気づいたらみんな「100%力を出さないと」と本気で取り組んでいた。人を動かすのは、熱量なんだと学んだプロジェクトでした。

――今後取り組んでいきたいことはありますか。

O ずっと『2gether THE MOVIE』にかかりきりで、次の仕込みができるほどの余裕はなかったのですが、タイドラマには他にもたくさん素晴らしいコンテンツがあるので、何かしらの形でタイのエンタメを日本に広めるサポートができればと思います。

ただ、今はとにかく『2gether THE MOVIE』を成功させることに必死なので。おかげさまで公開拡大も決まったので、1日でも長くロングラン上映ができるよう、1人でも多くの人に『2gether』の魅力をお伝えできるよう頑張りたいです。

T また別のタイドラマを扱うことも、きっと夢物語ではないと思うんですよ。OさんやIさんのおかげで、GMMTVさんといい関係を築くことができました。今後も日本で何かやるならアスミック・エースと一緒にやりたいと思っていただけるようになったらうれしいですね。

I 今後もGMMTVと何かできたら嬉しいですし、この経験を糧に、今後も様々な海外コンテンツを日本に届けられたらと思います。


TOHOシネマズ新宿の壁面に掲出された「2gether THE MOVIE」広告

 

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