第2回/『2gether THE MOVIE』展開の舞台裏

2021.07.12

インタビュー・文:横川良明

<全3回>
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沼にハマった2人の社員の熱意から動きはじめた『2gether THE MOVIE』プロジェクト。アスミック・エースにとっても初めてのタイコンテンツ。しかも宣伝を担当するOとTは、映画の宣伝に携わるのはこれが初めて。

いかに公開に向けて熱狂をつくり上げていくか。第2回では、宣伝担当のOとT、そしてGMMTVとの窓口業務を担ったIのそれぞれの動きを追いかけていく。

 

――OさんとTさんは映画宣伝業務の経験値がない中でのスタート。どのようにして進めていったんでしょうか。

O 宣伝まわりに関しては、私とTさんの他にHさんというコアメンバーがいて。Hさんは今、グループ会社のジュピターエンタテインメントが運営するLaLa TVに所属しているんですけど、もともとアスミック・エースでずっと宣伝業務を担当していて。言うなれば、宣伝のプロフェッショナル。実はHさんも当初から『2gether』の魅力にどっぷりはまっていて、映画化企画書を作るころからアドバイスはしてもらっていたんです。その方に、映画の宣伝は何をしなければいけないのかをゼロから教えてもらうところからスタートしました。

I  宣伝プロデューサーは宣伝の統括業務。本来なら宣伝部で経験のある人か、もしくは外部の方にお願いをするのですが、たとえ経験はなくても、沼にどっぷり浸かっている2人が中心に立ってやった方が、ファンの方に刺さるプロモーションができるのではないかと。そうした期待もあって、2人が選出されました。

逆にHさんは、アスミック・エースで長らく宣伝を担当していたので、足りない経験値はきっとHさんがカバーしてくれるはずだと。

O 本当に支えてもらいました。まずはどんな資料が必要かとか、メディアに取り上げてもらうためにはどんなアプローチが必要かとか、ひとつひとつ順を追って教えてもらって。HさんとTさんと私、三人四脚でプロジェクトを進めていったという感じですね。

――宣伝面で大切にしたのはどんなことですか。

O とにかくファンの気持ちに寄り添った展開をしたいなと心がけていました。私自身もファンの1人だし、作品がどういうふうな扱われ方をされたら嫌だなというのは肌感覚でわかる。その感覚がファンとズレないようにしようと。

だから、プライベートでタイドラマ専用のTwitterアカウントを持っているんですけど、そこで繰り広げられているファンのみなさんのやりとりは意識して見ていましたね。どういうことをしたらファンが喜んで、どういうことをしたらファンが嫌な気持ちになるのか。

もちろん全国展開をする以上、まだ『2gether』を知らない人にも広めていきたいんですけど、もともとファンの口コミで広がった作品だけに、まずは作品を応援してきたファンの気持ちを裏切らないようにすることが第一。日本の映画館で公開されたことが、みなさんにとっていい思い出になれば、ということは常に意識していました。

T 第1回でもちらっとお話ししたのですが、私自身、BL作品が好きだからこそ、「禁断の愛」とか「性別を超えた愛」というふうに取り上げられるのが苦手だったんですね。だからそういう言い回しは宣伝でも使わないようにして、でも男性同士の恋愛作品であることは別に隠すことでもないので丁寧にアピールしたいなとも思っていました。

私はこの作品のとにかく自然体なところが好きなので、宣伝でもその世界観をそのまま伝えたくて。大学生の男の子2人のラブストーリーで、キュンとするし、コミカルなところもたくさんある、という芯の部分がちゃんと伝わるような展開にしたいなということを考えていました。

――ポスタービジュアルをはじめ、GMMTVから提供された宣伝のための素材を日本で展開する上で何かアレンジしたところはありますか。

O サラワットとタインが見つめ合っているメインビジュアルに関しては、パッと見たときに目を引くものにしたくて、タイ本国のものより2人の顔を少しだけ寄りにさせてもらっています。あとは、日本の人たちになじみやすいように、色味の部分を少し変更したりはしましたが、大きなところはほとんど変えていないです。

左:日本版ポスター 右:タイ版ポスター

T  GMMTVから供給される情報を、ファンのみなさんが直接自分から取りに行っているのが、タイドラマの特徴。GMMTVがYouTubeでも公開していたものを、ファンの方たちが見つけて、直接アクセスしていったことで一気にブームになりました。

つまり、ファンのみなさんはGMMTVの提供する世界観が好きだし、よく知っているんですね。それをこちらで手を入れたってファンの方ならすぐにわかるし、違和感を持つ人もきっと出てくる。だから、作品の良さを日本の人たちに伝わるようにするにはどうすればいいかということは考えましたけど、大きく変えようという発想はもともとありませんでした。

――では逆に、まだ『2gether』を知らない人に届けるためには、どんな工夫を試みましたか。

O 予告編を見比べていただくのがいちばんわかりやすいかもしれません。

https://youtu.be/eFfVEn00fG4

O まずこちらが、タイ本国用の予告編です。すごくしっとりとした雰囲気で、見ているだけで2人のこれまでの名場面が脳裏に蘇ってくるようなつくりになっていますよね。ただ、どちらかと言うと、ずっと『2gether』を応援しているファンのみなさんに向けた内容なのかなというふうに感じまして。日本版の予告編では雰囲気を変えさせていただきました。

https://youtu.be/YB9lJKazBDw

O こちらが日本用の予告編です。『2gether』の持っている明るくポップな世界観を強めに打ち出し、主人公であるサラワットとタインのストーリーが初めてご覧になる方でも楽しくわかりやすく伝わるような構成にしました。

もちろんこれはどちらが良くてどちらがダメということでは決してなくて。まだ『2gether』をご存じない方が偶然予告編を目にしたときに、なんだか面白そうとか、すごく素敵な2人だなとか、なんでもいいので興味を持つきっかけをつくることが一番の目的。どうするべきか私たちの間でもすごく悩んだのですが、観るとハッピーな気持ちになれる作品なんだということを伝えたくて、こうした内容にさせていただきました。

――グッズの企画制作もOさんとTさんが担当されたそうで。

T そうですね。まずは絶対にぬいぐるみをつくろうという話をして。

O ただ、サラワットとタインのぬいぐるみはすでにGMMTVが公式のグッズとして展開しているんですね。

T こういうグッズがやりたいですというこちらの要望をまとめてGMMTVにお送りしたところ、ぬいぐるみだけは「もうすでにあるし、ファンの方が混乱しないでしょうか」とちょっと後ろ向きな反応が返ってきたんです。だけど、日本では同じキャラクターのぬいぐるみがサイズ違いやデザイン違いで展開されるのはよくあることなんですということを再度お伝えして。

O 映画館で販売することができれば、よりファンのみなさまがアクセス良く作品の世界観を楽しむことができるだろう、という想いもあり…。Tさんが私物のぬいぐるみを写真に撮ってましたよね(笑)。

T はい(笑)。私は某探偵アニメが大好きで…。同じ登場キャラクターだけで種類の違うぬいぐるみを10体以上持っていたので、それを並べて写真に撮って、「日本ではこんな感じなんだよ」と。

O そういう私たちの想いを全部伝えてくれたのが、Iさんです。

I 送りましたね、ぬいぐるみの写真(笑)。日本ではいろんな種類があって当たり前なんだって一生懸命説得して。

O 実際、公開後のファンのみなさんの反応を見ていると、GMMTVが展開しているサラワットとタインのぬいぐるみと、今回私たちが製作したニューバージョンのサラワットとタインのぬいぐるみを並べた写真をアップしている方もたくさんいて。楽しんでいただけたのかなと安心しました。

――サブカップルであるマンとタイプのぬいぐるみが販売されたのも、ファン心理を掴んだ展開だなと思いました。

T 私もOさんもマンとタイプをはじめサブカップルたちが大好きで。サラワットとタインとはまた違う魅力があるじゃないですか。もう1種類制作するのであれば、ドラマシリーズでもたくさんのときめきをくれたマンタイプになるかと思いました。王道なツンデレを見せてくれて本当にありがとうという気持ちを込めさせてもらいました(笑)。

O 実際、日本のファンの間ではマンタイプの人気を感じていました。SNSを見ながら、その熱を敏感に感じ取っていたので、これはグッズ化できるんじゃないかと踏み切りました。そうしたファンのみなさんの温度感は、細かく研究させてもらっています。

――他にもいろんなグッズが展開されていますね。

T サラワットとタインのアクリルスタンドが連結できるというアイデアは絶対やりたいと最初から言ってました(笑)。

O あとはポーチも。私自身、タイ語を勉強したというのもあって、タイ文字のあの丸いフォルムは絶対可愛いと思って、デザインに入れさせてもらいました。

T アクスタなどと比べると、布系のグッズって売れ行きがそこまで伸びないことが多いので、トートバッグに関しては実は最初は悩んでいたんですね。でも、相談していたデザイン会社さんが、デザイン案をつくるにあたって『2gether』を履修してくださって。そしたら、その担当の方がすごくハマってくださって。作品の要素をいろいろ散りばめたデザインを提案してくださったんです。それがあまりに素敵だったので、トートバッグもつくろうと。

O トートバッグにしてもポーチにしても、普段使いできるものにしたかったんです。だから、社内の女性たちの意見を聞きながら、私たち世代の女性が日頃から持っていても違和感のないシンプルなデザインを目指しました。

――作品を愛するスタッフの手によって、着々と進められた『2gether THE MOVIE』プロジェクト。しかし、長引くコロナ禍によって想定外の事態が行く手に立ちはだかることに。第3回では、公開に向けた舞台裏をお届けします。

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