ヒットの裏には宣伝チームの戦略あり! 映画『関ヶ原』が多くの観客に届いた理由【第3回】

2018.03.20

*インタビューアー:上田智子 *写真:秋元俊一

2017年8月に公開し、興行収入24億円の大ヒットを記録した映画『関ヶ原』。本作をヒットに導いた「宣伝」は、アスミック・エースの親会社であるJ:COM内で高く評価された。原作・司馬遼太郎、監督・原田眞人、主演・岡田准一の超大作時代劇アクションを、どのような戦略で宣伝したのか? 映画宣伝歴14年の鈴木崇史(宣伝プロデューサー)と、宣伝歴5年の佐藤みなみに語ってもらった。(全4回)

 

【バラエティ番組のADから宣伝部へ】

宣伝室の佐藤みなみは、もともとテレビのバラエティ番組を制作していた。しかし、大学の就職活動時に一番入りたかった会社はアスミック・エースだったという。

佐藤「もともと映画が好きなんですが、特に『ジョゼと虎と魚たち』とか、『メゾン・ド・ヒミコ』とか、アスミック・エースの犬童一心監督作品が好きだったんです。『トレインスポッティング』なども配給していて、洋画も邦画も独特の作品をやってるなぁと思って、アスミック・エースが第一希望でした。でも、“今年は新卒採用をしません”というお知らせがHPに掲載されていて……。その衝撃は今でも覚えています(笑)」

そこで、映画の次に好きなテレビの仕事をするべく、バラエティの制作会社に就職した。

佐藤「『嵐にしやがれ』立ち上げの年に、新卒で制作会社に入社し、AD(アシスタント・ディレクター)をやっていました。基本的にはディレクターやプロデューサーに求められることをやるんですけど、ゲストに来る方のリサーチをしたり、内容が決まったらセットを考えて小道具の発注をしたりしました。他にも『24時間テレビ』のフロアでカンペを出したり、特番をやったりもしましたが、『嵐にしやがれ』の仕事がメイン。ADを3年やったあと、『しゃべくり007』のAP(アシスタント・プロデューサー)を1年やりました。寝れないし、帰れないし、休みは年に5日ぐらいしかないし、忙しすぎて地獄のような日々を過ごしました(笑)。でも、 “あの日々を乗り越えられたんだから、何があっても大丈夫だ”と思っていて。あの体験が自分の核になっています」

転機が訪れたのは、バラエティ制作を始めて4年目のこと。アスミック・エース宣伝室が中途採用の募集をしていたのだ。

佐藤「ちょこちょこアスミック・エースの動きを気にしていたので、この中途採用のチャンスを逃す手はないと思って。それで、履歴書を出したあと、会社を辞めました(笑)。面接では『なんで会社辞めちゃったの?』と聞かれましたが、『背水の陣です。採ってください!』ってお願いして(笑)。結果的に入社することができました」

【考えた分だけ幅が広がる仕事】

入社後、宣伝チームとして仕事を開始。特に印象に残っているのは、最初に担当した映画だという。

佐藤「入社してしばらくは、仕事を覚えるために皆さんのお手伝いをしていたんですが、宣伝チームの一員として一番最初に担当したのが『フルスロットル』という洋画でした。『関ヶ原』と同じく、鈴木さんが宣伝プロデューサーで。パルクールを題材にした映画なんですけど、たまたま手にした雑誌にパルクールパフォーマーの第一人者であるZENさんが出ていたんです。『かっこいいし、この方いいんじゃないですか?』って提案したら、『連絡取ってみて』って言われて。結果、ZENさんが宣伝大使になってくれて、映画とコラボしたパルクール映像を作ったりしたんです。自分でいろいろ考えた分だけ幅が広がる仕事なんだ、面白いなあって、宣伝の醍醐味を知りました。
一番最初にやった邦画『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』も印象に残っています。犬童監督とお仕事できたのも嬉しかったですし、洋画と邦画の宣伝方法の違いも知ることができました」。

アスミック・エースの宣伝室には「キャスト担当」という仕事が存在する。パブリシティからイベントの内容まで、すべて「キャスト担当」が窓口となり、相談や説明をするのだ。

佐藤「主演の方のキャスト担当を初めて任せてもらったのが『エヴェレスト 神々の山嶺』でした。毎日、何時間もマネージャーさんと電話でお話をして、主演の方との仕事のやり方を学びました。『関ヶ原』でも主演担当をやらせていただいたので、その時の経験が活かされていると思います」

入社5年目の佐藤から見て、アスミック・エースとはどんな会社なのだろうか。

佐藤「尊敬できる方が多い会社です。宣伝は、映画に伴う感情を分析して、その先々まで考えなければいけない仕事。私は入社するまで、映画を観て『面白かったなぁ』などの感想くらいしか考えてなかったんですけど、先輩方は自分の感情を言語化するのがすごくうまいし、理論的に説明できることに感動しました。それから、アスミック・エースではチラシやプレスのテキストを宣伝プロデューサーが書くんですが、皆さん渾身の原稿を書かれていて。昨年、『ノー・エスケープ 自由への国境』という洋画の宣伝プロデューサーをやらせていただいたんですけど、自分でプレスの原稿を書きながら、なんて語彙力がないんだ、と思って。もっともっと勉強しなきゃいけないな、と思っています」

 

▼『関ヶ原』について
出演:岡田准一 有村架純 平岳大 東出昌大 / 役所広司

北村有起哉 伊藤歩 中嶋しゅう 音尾琢真 松角洋平 和田正人
キムラ緑子 滝藤賢一 大場泰正  中越典子 壇蜜 西岡德馬
松山ケンイチ 麿赤兒 久保酎吉 春海四方 堀部圭亮 三浦誠己
たかお鷹 橋本じゅん 山村憲之介 宮本裕子 永岡佑 辻萬長

原作:司馬遼太郎「関ケ原」(新潮文庫刊) 監督・脚本:原田眞人
製作:「関ヶ原」製作委員会  配給:東宝 アスミック・エース

「愛」と「野望」、激突!
日本の未来を決した、わずか6時間の戦い。
誰もが知る「関ヶ原」の誰も知らない真実―――
公式サイト:http://wwwsp.sekigahara-movie.com/

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